道の駅奥久慈だいごに登山用品店が来る理由。防災道の駅とモンベルの意外な接点

2026年9月10日公開

茨城県大子町の道の駅奥久慈だいごに、2026年10月10日、登山・キャンプ用品ブランド「モンベル」の直営店が入ります。この道の駅は2021年に国が初めて選んだ「防災道の駅」39駅のひとつで、茨城県からの選定はここだけでした。出店の話は、その選定の4か月後に町とモンベルが結んだ協定から動き出しています。

10月10日オープンの「道の駅奥久慈だいごWEST」

道の駅奥久慈だいごが、旧役場の跡地に敷地を広げます。新エリアの名前は「道の駅奥久慈だいごWEST」。大子町観光協会の発表では、2026年10月10日のグランドオープンと案内されています。既存エリアのほうは「道の駅奥久慈だいごEAST」に名前が変わりました。

WESTは大きく2つに分かれます。ひとつが「NATURE BASE DAIGO」で、モンベルの直営店、地元食材を使うレストラン「お食事処 恵比寿庵」、大子町の情報や防災情報を流す「FMだいご放送局」が入ります。レンタサイクル、大子温泉かけ流しの足湯、24時間使えるトイレも同じ施設です。もうひとつが「まちなかスクウェア」で、最大1,700人が入る開閉式屋根のイベント広場を備えます。

防災の設備は、この2つそれぞれに仕込まれています。NATURE BASE DAIGOの地下には耐震性貯水槽60tを埋め、のべ5,600人の3日分の飲み水を確保できるようにしました。多目的スペースは一時避難所を兼ね、停電時は非常用発電設備から主要な箇所へ電源を送ります。まちなかスクウェアのほうは、雨水の貯留槽が満水になるとイベント広場そのものが貯水池になる造りです。大子町はNATURE BASE DAIGOを「防災対応型観光交流施設」と呼んでいます。

きっかけは2019年の台風

にぎわいと防災が一つの計画に同居しているのには理由があります。同じ観光協会の発表に、令和元年東日本台風の被災を契機として、国・県・町が「大子町の防災、にぎわい近隣との連携」を基本方針とする大子まちなかビジョンを令和2年度に策定した、と書かれています。WESTはこのビジョンから生まれた施設です。

台風は町の鉄道も止めました。道の駅の最寄りである常陸大子駅と袋田駅の間に架かる第6久慈川橋梁が流失しています。茨城新聞は、水郡線が全線で運転を再開したのは1年半後の2021年3月27日で、新しい鉄橋は橋桁を最大約1.3メートルかさ上げしてトラス橋に架け替えられた、と報じています。

道の駅の最寄り駅、水郡線の常陸大子駅です。道の駅奥久慈だいごまでは約1.2km、歩いて16分ほどの距離です。

その3か月後にあたる2021年6月11日、国土交通省が「防災道の駅」として全国39駅を初めて選定し、道の駅奥久慈だいごが茨城県から唯一入りました。大子町はこれを「自衛隊等の救援活動の拠点や復旧・復興活動の拠点などの広域的な防災拠点機能を持つ道の駅」と説明しています。

選定の4か月後に結ばれた協定

町とモンベルが「連携と協力に関する包括協定」を結んだのは、選定から4か月後の2021年10月13日です。大子町の記録によると、締結式でモンベルの辰野勇会長は「アウトドアというジャンルを通して課題克服していきたい」と述べています。

この包括協定は、モンベルが全国の自治体や団体と結んでいる枠組みです。モンベル公式サイトでは2026年9月3日時点で199カ所と数えられていて、連携する7項目には環境保全や子どもの育成、健康増進と並んで「防災意識と災害対応力の向上に関すること」が入っています。

施設の設計そのものも、モンベルの出店を前提に変わりました。建設業界紙日本工業経済新聞は2023年9月、大子町が観光交流施設の基本・実施設計費6864万円と設計監修費1336万5000円を2カ年継続費に設定したと報じています。同紙によれば、施設は当初1000平方メートルの平屋で計画されていましたが、モンベルの出店が決まって2階建て・延べ床2000平方メートル程度に拡大しました。監修業務は、前年度に交わした覚書をもとにモンベルとの随意契約になる見込みと記載されています。

モンベルが被災地に送ってきたもの

モンベルには、キャンプ道具を被災地へ届けてきた実績があります。モンベル公式サイトには、2016年の熊本地震で「モンベル南阿蘇店を拠点として、被災された方々へのテント・寝袋・マットの貸し出しを開始」したと書かれています。

2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」でも動いています。同社のリリースによれば、8月12日にキャンプ用マット130点や機能性Tシャツ400点などを積んだ車が大阪の本社から熊本へ向かいました。8月14日から16日にかけては、被災地で活動していたアルピニストの野口健さんの依頼を受けて避難所用のマット100点を提供。氷川町ではボランティア団体を通じて、車中泊や自主避難をしている人へ届けられています。

オープンは2026年10月10日。最寄りの常陸大子駅からは1.2kmほどの道のりです。

参考

他の記事も読む

この近くの道の駅

ここから20km以内の道の駅です。クリックすると詳細ページに移動します。

  1. 2道の駅 みわ15.1km
  2. 3道の駅 さとみ16.0km
  3. 6道の駅 ばとう19.2km